「合不合判定テスト」の結果は、参考資料に過ぎない

 「三大模試」 の中でも、特に四谷大塚の 「合不合判定テスト」 は定評があり、多くの受験生が、こ
のテストの結果によって最終的な志望校を決定しています。また、塾からも受験指導の資料として重
視されています。

 しかし、合不合判定テストの結果だけを見て志望校を決定するのは危険です。もちろんある程度の
目安にはなりますが、このテストの結果だけでなく、必ず志望校の出題傾向も考慮しなければなりませ
ん。特に算数の場合、注意が必要です。合不合判定テストの算数の問題は、平均的な入試問題に比
べて特殊なのです。

 算数の入試問題は、「思考力」 と 「処理能力」 がどのような割合で要求されるかによって、次の5
つのタイプに分けられます。(かっこ内は、2007年度の入試問題における、1問あたりの解答時間で
す。)

 (1) 超・思考力重視 (6分以上) ・・・ 開成、栄光、駒場東邦
 (2) 思考力重視 (4〜6分) ・・・ 灘(2日目)、麻布、武蔵
 (3) バランス重視 (2.5〜4分) ・・・ 灘(1日目)、筑駒、桜蔭、渋幕
 (4) 処理能力重視 (2〜2.5分) ・・・ 慶應中等部、浅野、東邦大東邦
 (5) 超・処理能力重視 (2分未満) ・・・ 筑波大附属、お茶の水

 合不合判定テストは、制限時間が50分、問題数が30問、1問あたりの解答時間は1分40秒です
ので、(5)の 「超・処理能力重視」 タイプということになります。

 ですので、合不合判定テストの算数で高得点を取った受験生が、「超・処理能力重視」 「処理能力
重視」 の試験は得意だけれど、「超・思考力重視」 「思考力重視」 の試験は苦手だということもあり
ます。

 ここでは一部の難関校を例に挙げましたが、中堅校でも同じことが言えます。まずは受験する学校
の算数の問題を調べて、(1)〜(5)のどのタイプに該当するのかを確認してみてください。

 受験校の問題が(4)(5)のタイプであれば、合不合判定テストの結果がかなり当てになりますが、
(1)(2)のタイプであれば、合不合判定テストの結果をそのまま受け入れるのは危険です。

 ただ、いくら過去問で良い点数が取れていても、合不合判定テストの結果が極端に悪い場合には、
注意が必要です。

 同じ過去問を既に塾で行っていたり、制限時間を守っていなかったり、ミスをした箇所を正解の扱い
にしていたり、解答を見てしまったり・・・というように、過去問をきちんとした状況で行っていない可能
性が高いからです。そういう場合には、合不合判定テストの結果を無視することは出来ません。

 いずれにしても合不合判定テストは、絶対的な基準ではありません。あくまで「参考資料」と考える
べきです。