転塾をする場合の注意点
塾に通い始めたものの、様々な理由により途中で転塾する受験生も少なくありません。難関校受験生に限って言えば、より高いレベルの塾を求めて転塾する場合と、相性等の理由で大手塾から小規模塾に転塾する場合が多いのではないでしょうか。もともと通っていた塾で成果が出ていた受験生には前者の理由が多く、成果が出ていなかった(伸び悩んでいた)受験生には後者の理由が多いと感じます。
転塾をするということは現状よりも良い環境を求めているわけですが、リスクがあることも十分に理解しておく必要があります。転塾によって得られるものと失ってしまうもののバランスを十分に考慮した上で、それでも転塾する価値があると判断した場合にのみ、転塾という決断をするべきです。
高いレベルの塾を求めて転塾する場合、注意すべきなのは「カリキュラムの違いによる穴を作らない」ということです。高いレベルの塾は各科目の進度も速いため、多くの場合、習うことのできなかった単元(穴)が出来てしまいます。転塾の際に各科目の穴を把握して、少しずつ自主学習で埋めていければいいのですが、埋めきれずに放置されてしまったり、穴の存在に気づかないままになってしまうことがあります。このタイプの転塾は理由も前向きであり、早い時期(5年生夏休み以前)であれば成功率も高いのですが、カリキュラムの違いには十分に注意しておく必要があります。
相性等の理由で転塾する場合、注意すべきなのは「上手く行かなかった原因を正確に分析する」ということです。転塾するということは、多かれ少なかれ、上手く行かなかった原因を塾に求めているわけですが、そこを曖昧にしたまま別の塾に移っても、結局は同じような結果になることが少なくありません。
成果が出ない場合、才能、努力、方法、環境のいずれかに原因があります。例えば、塾の指導が不十分でも、実はそれが自主学習で補えるのだとすれば、環境と方法に原因があることになります。また、どうしてもモチベーションが上がらないのだとすれば、努力、または努力と環境に原因があるのかもしれません。いずれにしても転塾して環境が改善しても、別の原因が改善されないままだと、結局は状況が変わらない可能性があります。