「不合格可能性」を意識する
難関校受験生にとって学校別模試は最も有力な判断材料になりますが、その結果について冷静に判断することも大切です。
例えば「合格可能性60%」という判定が出た場合、大半の受験生は「60%」という数値に注目します。もちろん、それ自体は間違いではないのですが、さらに冷静な判断をするためには「不合格可能性」にも注目する必要があります。
「合格可能性60%」は、裏を返せば「不合格可能性40%」で、10回受験すれば4回は不合格になるということです。合格可能性の方に注目すると「十分にいける」と楽観視してしまいそうですが、不合格可能性の方に注目すると「結構、厳しいのではないか」と悲観的になるのではないでしょうか。
これが「合格可能性80%」の場合では「余程のことがなければ合格できる」という気分になりがちですが、10回受験して2回は不合格になると考えれば「それほど安全でもない」と感じるかもしれません。もちろん逆の場合もあって、例えば合格可能性20%の場合に「10回受験すれば2回は合格する」と前向きに捉えることもできます。
大切なのは「合格可能性」と「不合格可能性」の両方を意識して、これから挑戦しようとしていることに、どの程度の可能性とリスクがあるかを冷静に見極めるということです。
現実的な話をすれば、本命校の受験を合格可能性80%の状態で迎えられる受験生は少数派です。合格者の半数が、合格可能性40~60%の範囲だった(つまり、当日の出来次第で合格、不合格のどちらに転ぶ可能性もあった)ということもあります。要するに、本命校の受験については大半の受験生が「ある程度のリスク」を背負っていることになります。
可能性とリスクを冷静に見極めている受験生や親御さんは、慢心したり無駄に不安になることがなく、入試本番まで安定した精神状態で最善を尽くすことが多いと感じます。