塾の課題が合わない場合の対処法
今年度の首都圏入試まで 100日を切り、いよいよ入試直前期
となりました。この時期の学習で大切なのは「自分に合った
課題を行う」ということです。難しすぎる課題に手を出して
も、易しすぎる課題を行っても、かける時間の割に得られる
ものは少なくなります。
当たり前のことを言っているようですが、毎年、入試直前期
に「自分に合わない課題」を行うことで実力を伸ばしきれな
い受験生が少なくありません。特に、塾の課題の対処法に悩
んでおられる方も多いようです。
レベル別、志望校別に細かくクラス分けされている塾であれ
ば、それぞれのクラスには似たレベル、状況の受験生が集ま
っていますので、合わない課題が出されることは多くありま
せん。逆に、あまり細かくクラス分けされず、同じクラス内
の実力差が大きい塾では(クラス全員に共通して出される)
課題が生徒によっては合わない、ということが起こります。
実は先日、このことで受験生(A君とします)の親御さんか
ら相談を受けました。A君は、ある大手塾に通っているので
すが、教室の規模が小さいためクラス数が少なく、実力の割
には低いクラスに所属しています。テストでもクラス内では
大体トップに近い成績を取り、授業で解説される内容も、A
君にとっては易しく感じるものが多いようです。私は家庭教
師でA君の算数を担当していますが、理科、社会も得意で、
志望校もクラスの他の生徒とは実力差があるように感じます。
ところが、そのクラスでは「理科、社会のテキスト(入門レ
ベルの教材)を2回ずつ繰り返す(1カ月半で各1冊のペー
ス)」という課題が出ていて、提出させられます。A君にと
っては9割以上が理解している内容ですが、そうは言っても
忘れている箇所で考え込んでしまったり、提出用にノートに
きちんと書いたりすると、1日30分程度かかってしまうよう
です。
確かに、テキストの内容の数パーセントは理解できて(覚え
られて)いないのですから、繰り返す意味が全然ないわけで
はありませんが、限られた時間でどの課題を優先するかとい
うことを考えれば、今の時期に行うことではないように思い
ます。
A君の志望校は、問題が特別に難しいというわけではないの
ですが、それでも標準レベルかそれ以上ですので、今の時期
に過去問も十分に行えず、9割以上理解しているような内容
に多くの時間と体力を使わなければならないというのは、厳
しいものがあります。
私がA君に勧めたのは「解答を参照しながら解いていく」と
いう方法です。理解している(覚えている)部分はそのまま
解答して、理解できていない(覚えていない)部分は考え込
まず、すぐに解答を参照する・・・という感じです。
A君にとっては合わない課題ですが、それでも塾の先生(正
確には授業担当でなく、クラス責任者ですが)は「必ず全員
に提出させる」と意気込んでいるようですので、提出しない
というのは難しいようです。親御さんが塾にクレームをつけ
るなどしてややこしい話になるよりも、とりあえず形だけで
も提出する方が良いでしょうし、こうすることで多少は負担
を軽くすることができます。
A君に限らず、塾の課題が合わない(易しすぎる、難しすぎ
る、多すぎる、など)ということは意外に多いものです。限
られた時間の中で志望校に合格するためには、現在の実力と
志望校合格に必要な実力を正確に把握して、そのギャップを
埋めるための学習を行う必要がありますが、合わない課題に
縛られてしまうと、その時間が取れなくなります。
受験生の方は、塾の課題が志望校対策として本当に合ってい
るのかどうかを確認し、合っていない場合は、その課題にか
ける時間を減らす(可能であればなくす)方法を検討されて
みてはいかがでしょうか。
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