ミスには4種類ある
大部分の受験生は「ミスが多い、ミスをなくしたい」という悩みを抱えていますが、ミスの種類を把握して、その種類に合わせた改善策をとっている受験生は少ないと思います。ミスが多いという場合、主にA~Dの4種類の状況が考えられます。(本当の意味でのミスはA~Cの3種類です)
A:凡ミス(性格・習慣的なことが原因)
集中力が欠ける(性格)、雑に処理してしまう(習慣)といった性格・習慣的なことが原因となるミスで、本当の意味での「凡ミス(ケアレスミス)」と言えます。問題のレベルに関係なくミスをする(基本問題でも応用問題でも同じようにミスをする)という特徴もあります。もともと苦手意識を持っていたり、モチベーションが比較的低い受験生に多く見られます。大人からすれば「注意すれば防げるのに」と思うのですが、体質的なことは意外に根が深く、改善するのに時間がかかることが多いです。改善策は「家庭学習の中で丁寧に解く習慣をつけていく」ということになります。計算の書き方、見直しの徹底など、凡ミスを防ぐための手段を毎日の学習で実践していくことが必要です。
B:実力不足によるミス
一見「ケアレスミス」に思えるのですが、実は実力不足が原因になっていることもあります。基本問題ではミスが少なく、応用問題になるとミス(解けないのではなく、解ける問題で計算ミスなどをする)が増えるという特徴があります。要は「余裕のないレベルになるとミスが増える」ということです。強い苦手意識はなく、それなりに自信を持っている受験生に多く見られます。例えば1問平均3分で解ける実力があれば、本人的には「できる」という感覚があります。しかし普通の模試は1問平均1分40秒~2分しか時間がなく、そのペースで解こうとすると確実にミスは増えてしまいます。厳しい言い方をすれば、「3分で解ける実力」はあっても「1分40秒~2分で解ける実力」はないということになります。改善策は「純粋に実力を上げていく」ということになります。特別なミス対策は行わず、オーソドックスに課題に取り組んでいくと良いでしょう。大変そうに思えるかもしれませんが、努力に比例した結果が(そのまま)得られるという意味では、確実に改善できる状況だと言えます。
C:凡ミス(メンタル的なことが原因)
プレッシャー等のメンタル的なことが原因となるミスです。普段の学習ではミスが少ないのに、模試になると「どうしてこんなミスをしたのだろう」という初歩的な凡ミスをしてしまうというのが特徴です。要は「家ではできることが模試になるとできない」ということです。優等生タイプで、本来の実力的にはもっと高い成績がとれていいのに、実際の模試では結果が出ないという受験生に多く見られます。改善策は「模試で精神的な余裕が生まれることを目指す」ということになります。普段の学習において、課題ごとに短い制限時間を設定する、応用問題に多く触れるなど、模試よりも厳しい状況を経験することで、実際の模試では少し余裕を持てるようになることがあります。
D:ミスではない
本当は理解できていないのに、ミスとして片付けていることもあります。よく「これはミスしただけだから、大丈夫」という受験生がいますが、実際は「そもそも理解していない」ということが少なくありません。理解できていないのにミスで片付ける(本当は解けるがミスをしただけだと思い込む)→類題が出る→また解けない、という感じで、同じパターンで何度もミスを繰り返すという特徴があります。要は「理解できていない」と「ミス」の区別がついていないということです。幅広いレベルの受験生に見られますが、成績上位になるほど、少なくなる傾向があります。改善策は「理解していないことを自覚して、根本的な理解を目指す」ということになります。これもBと同様、確実に改善できる状況だと言えます。
ミスに悩んでいる受験生の親御さんに話を聞くと、実力不足によるミス(Bの状況)なのに「もっと注意して解きなさい」といった指示を出すなど、ミスの種類・状況に合った改善策をとっていないことが多いと感じます。ミスを改善しようと思ったら、まずはミスの種類・状況を特定することから始めてみてはいかがでしょうか。
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