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更新日 2017-08-10 | 作成日 2011-06-01

上位層ほど最後に加速する

私は「早期完成型」の対策を奨めることが多く、特に難関校を目指す受験生に対しては「先取り」を奨めたり、余力があれば少し早くても応用に入り、どんどん取り組んでもらっています。

ただ、中にはこういう「早期完成型」の学習法に抵抗を示す親御さんもおられます。特に御自身が高学歴で、大学受験時代に勉強を部活動を両立させて「最後の追い込み」で成功した、という成功体験のある親御さんにそのような傾向があります。

早い時期に無理をして上位にいた受験生は最後に息切れして失速する、逆に力を温存していた受験生は最後に猛烈な勢いで加速して(息切れした受験生を)逆転する、という青写真を描かれている親御さんも少なくありません。

実際、追い込み型の受験対策によって、中堅校受験や上位校受験で厳しいと思っていた学校に逆転合格したり、難関校受験でも数値(受験者平均点など)非公表の学校については奇跡的とも言える逆転合格を達成する例があります。

一方で、大半の難関校受験や、数値非公表でも(筑駒や桜蔭などの)最難関校については、追い込み型の受験対策が通用する例は非常に少ないものです。「逆転合格」に見えても、決して「大逆転」ではなく「小逆転」程度であったりします。

追い込み型の受験生にとって誤算になりがちなのは、早い時期に上位にいた受験生ほど(失速する例もありますが)基本的には直前期に加速する傾向があるということです。

これは、知識が蓄積されるほどその知識が「潤滑油」になり、新しい知識の吸収や応用レベルの理解が楽になるということも影響しています。

例えば、私は難関校受験生には「中学への算数」を3年分やってもらっていますが、1年目に要する負担を10とすれば、2年目は7、3年目は4という感じで、後になるほど楽になります。

これは、1年目を終えることで荒削りながらも土台が整備されるため2年目の負担が軽くなり、2年目を終えるとさらに土台が整備されるため3年目の負担が軽くなる、ということが原因になっています。

追い込み型の受験生が1年目を10の負担で行っている時、上位層の受験生は3年目を4の負担で行っていたりします。追い込み型の受験生にとっては、負担が重いだけでなく、苦労している割に追いつけない(逆に差が開くことも多い)という状況になります。「中学への算数」を例に挙げましたが、他の課題についても似たようなことが起こっています。

さらに上位層の受験生は直前期の数ヶ月で、6年夏の時点では曖昧な理解に終わっていた内容や断片的だった知識が深い所で繋がってくることが多くなります。理解や知識を「熟成」させると言っても良いかもしれません。

追い込み型の受験生が直前期に新しい知識を吸収することに追われている一方で、上位層は熟成の段階に入り、違う次元で勝負をしている感じになります。

追い込み型での「逆転合格」という青写真を描く親御さんは、直前期に理解や知識を熟成させることの重要性を理解していなかったり、そもそも熟成という発想がないことも多いものです。