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更新日 2017-09-16 | 作成日 2011-06-01

塾教材の完成度と効果的な利用法

私が家庭教師で教えている生徒の多くは、中学受験専門塾に
通っている中学受験生です。私の授業では、塾の学習内容の
フォローを行いつつ、入試を見据えた指導を行っています。

その指導内容は、生徒の状況だけでなく、塾教材によっても
変えています。一口に「塾教材」と言ってもその「完成度」
(注1)は同じではなく、それによってフォローすべき内容
が違ってくるからです。

少し前に「速さ」の単元について、多くの入試問題の中から
出題頻度の高い問題を40題選び、さらに10題ずつ、A、B、
C、D(注2、3)にランク分けしてみたのですが、大手塾
の教材でどれだけ網羅されているかを調べたところ、次のよ
うな結果になりました。なお、塾名は伏せて、それぞれの教
材をP、Q、Rとしています。(注4)

<P>A:10題、B:10題、C:9題、D:4題
<Q>A:10題、B:9題、C:2題、D:1題
<R>A:10題、B:10題、C:10題、D:10題

私の主観によるものですので、このランク分けが絶対という
わけではありませんが、大体の「完成度」は見えてきます。

Rは出題頻度の高い問題を、難易度に関係なくほとんど網羅
しており、教材としての完成度はP、Qに比べて高いです。

Qは基本~標準レベルの定番問題はほぼ網羅していますが、
上位校・難関校で出題される問題が多く抜けています。教材
としての完成度はP、Rに比べると少し低くなります。

Pは基本~標準レベルの定番問題をほぼ網羅した上で、上位
校・難関校で出題される問題もある程度カバーしています。
教材としての完成度は平均的です。

この結果を見ればR、P、Qの順に良い教材だというように
思えますが、個人個人の状況との兼ね合いもあり、必ずしも
そうとは言い切れません。

RはA問題もD問題も同じように扱っているため、もともと
算数の得意な余力のある受験生であれば問題ない(課題をこ
なせる)のですが、平均的な受験生はA~Dのすべての問題
に力を分散して注いでしまうため、肝心のA問題、B問題が
定着しきらない傾向があります。

Qは、そのまま取り組んでしまうと効率的ではありませんが、
大体は塾の先生から課題の指示(「ここまで行えば良い」等)
が出るなど、何らかのフォローが行われています。

Pは扱いやすい教材で、比較的小さな負担でそれなりの状態
に仕上げることが出来ます。難関校対策としては十分でない
部分もありますが、これも大体は塾の先生から補助的な課題
を与えられるなどのフォローが行われています。

このようにP~Rのどの教材であっても、塾の先生の的確な
フォローがあれば成果をあげられますが、それぞれの塾教材
の特徴(完成度)に応じて、塾教材と塾以外の教材を上手く
組み合わせれば、学習効果が大きく違ってくることが少なく
ありません。

私は「中学受験を成功させる算数の戦略的学習法」という本
の中で、「塾の課題」と「塾以外の課題」を7:3の比率で
行うことをお奨めしましたが、実際の家庭教師の指導では、
塾教材の完成度によって、その比率を少し変えています。

たとえばP~Rでは、Pは7:3、Qは6:4、Rは8:2
を基準にして、あとは生徒の状況によって調整しています。

昨年度の受験生でも、算数の学習時間の5割でQの塾教材を
行いつつ、残り5割の時間に「四科のまとめ」→「応用自在
問題集」→「プラスワン問題集」→「中学への算数」という
流れで学習を進めた生徒がいました。

その生徒は、当初は算数、4科とも偏差値は40~45でしたが、
最終的には60以上の学校に複数合格しました。さらに算数に
限れば、私の感覚では、65以上の実力に達していました。

私が関わらせていただく前は、算数の学習時間をすべてQの
教材に注いでいましたが、それでも量が多すぎて終わらない
ということでした。ですので、その上に塾以外の課題を行う
というのはとても考えられない・・・という感じでしたが、
実際は負担を変えなくても、学習効果は大きく上がりました。

塾教材を効果的に利用するために必要なのは、「(すべての
問題を行うのではなく)課題を絞り込むこと」と「塾教材の
足りない部分を他の教材で補うこと」の2点だと思いますが、
特に難しいのが「課題の絞り込み」です。

「課題の絞り込み」については、塾の先生が指示してくれる
場合は、基本的にはそれに従うのが良いと思います。

もし課題の絞り込みを保護者の方が行わざるを得ない場合は、
たとえば塾の過去のテストと教材を見比べて、どこを行えば
テストに対応できるかという視点から課題を絞り込んでいく
のも1つの方法です。

また、多くの塾教材は同じパターンの問題(数値変えの問題)
を2、3回繰り返す仕組みになっていますが、その繰り返し
の部分を削るというのも1つの方法です。

6年生の方は入試まで残り10ヶ月を切りましたが、今から修
正すれば十分に間に合いますので、塾教材の利用法とそれに
伴う学習スケジュールを見直してみてはいかがでしょうか。


(注1)「完成度」というのは、ここでは「出題頻度の高い
問題をどれだけ網羅しているか」という意味で使っています。

(注2)A~Dの詳細は下記の通りです。
A:学校のレベルに関係なく、最もよく出題される問題
B:学校のレベルに関係なく、よく出題される問題
C:特に上位校・難関校で、よく出題される問題
D:特に上位校・難関校で、ときどき出題される問題

(注3)目安としては、難関校対策はA、Bを完全に仕上げ
た上でC、Dまで押さえる必要がありますが、中堅校対策は
A、Bを中心に押さえることになります。

(注4)教材全体の問題数は、Pが普通、Q、Rが多めです。


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